教育実践・問題解決・熟達化
〜自分の経験知を教育に活かそう 〜
第74回まなばナイトレポート
2025年12月20日、毎年恒例の「大忘年会」を兼ねた「第74回 まなばナイト」が開催されました。
今回は新宿の居酒屋会場とオンライン参加の皆様をリアルタイムで結ぶハイブリッド形式で、冒頭からお酒を片手に、リラックスしたムードで進行しました。
当日は17名が現地参加。熊本大学の戸田真志先生(後期課程専攻長)や、鈴木克明先生(武蔵野大学教授/熊本大学名誉教授)も加わり、先生方と直接グラスを交わしながら対話できる贅沢な時間となりました 。
1. 仲林先生による話題提供:教育実践・問題解決・熟達化
メインセッションでは、千歳科学技術大学情報システム工学科教授の仲林清先生より、100枚にも及ぶスライドを基に「熟達者のものの見方」についてお話をいただきました。
冒頭で投げかけられたのは、単なる手続きや経験則ではなく、状況の本質を見抜く洞察力や判断力こそが熟達者の「ものの見方」ではないか、という本質的な問いです。 過去の愛読書「スーパーエンジニアへの道」を題材にしたリーダーシップのお話では、表面的な行動量ではなく「質的な貢献」や「意味の理解」といった暗黙知こそが熟達の証であると紹介された「マーサのエピソード」が強く印象に残りました。
さらに、教育実践を「問題解決」のプロセスとして捉え、目標設定・現状分析・ギャップ発見・方策適用の一連のプロセスを、インストラクショナルデザイン(ID)やシステム思考の枠組みと結びつけて解説されました。IDモデルを単なる手順として機械的に使うのではなく、自らの「思考の枠組み」として使いこなす姿こそが、熟達者のあり方です。
熟達への道のりについては、ワインバーグの「高原谷間モデル」を用いて展開。成長は直線的ではなく、停滞期である「高原」の後に必ず「谷間(行き詰まり)」が訪れますが、この谷間での試行錯誤が「意味の理解」というブレークスルーを生み、さらなる高みへとつながっていきます。 加えて、単なるスキル習得に留まらず、自身の成長過程を客観視する「学び方の学び(SDLのSDL)」というメタサイクルを回す重要性が、高次の成長を続けるための指針として示されました。
後半の実践例では、熟達者の「ものの見方」を伝えることが未経験者の成果にどう影響するかが語られ、暗黙知をいかに明示化し次世代に伝えていくかという、多くの実践的なヒントが示されました。
結びに、参加者一人ひとりが各専門領域(ドメイン)の熟達者として現場の課題解決に貢献することの意義を強調され、セッションは締めくくられました 。
2.意見交換と懇親会
話題提供の後は、各テーブルでのグループワークと全体共有の時間。飲みながらのワークということもあり、リラックスした雰囲気の中で活発な意見交換が行われ、それぞれの専門領域(ドメイン)の状況が垣間見える貴重なひとときでした。
3.結びに
「忘年会×学び」という形式で行われた第74回は、和やかな中にも参加者の教育実践への熱意があふれる、「まなばナイト」らしい一年の締めくくりとなりました。
開催にあたっては、会場確保や進行準備に加え、特に「ハイブリッド環境のネットワーク設定」に多大なご尽力をいただきました。いつも豊かな学びの場を支えてくださる関係者の皆様に、心より感謝申し上げます。
2026年のまなばナイトでも、学びのネットワークがさらに広がり、深まっていくことを期待しています。
その後、現地会場ではそのまま2次会に突入し、さらに学びを交流深める夜となりました。開催にご協力いただいた皆様に、心より御礼申し上げます。
(熊本大学大学院教授システム学専攻 修士課程7期修了生 佐藤久恵 )