第64回
まなばナイト開催レポート
「GSIS修了生のいま」
IDをどう伝えればよいのか? -彼と己を見つめ直す-
冬日和となった2月の終わり、東京オフィスにて本年度最後のまなばナイトが開催されました。今回は、「修了生は今」をお伝える企画で、GSISの修了生はどのような活躍をされているのかを紹介するものでした。
話題提供者は昨年度までGSISでご指導頂いていた7期生平岡斉士先生と、本年度から非常勤講師として活躍されている13期生小池啓子先生です。
お二人から「IDをどう伝えればよいのかー彼と己を見つめ直すー」のテーマで、ID研修や日常業務などIDに対する理解をしてもらえない場合、「彼」にはどうしたら納得してもらえるか?どう考えているか?
そして、「己」はどのように対応するかについて話題提供をしていただいた後、現地とオンラインでグループディスカッションを行いました。
◆平岡先生
JSETでの発表をもとに経験談をお話しされました。この抄録には、講義形式を選択する積極的な場面と理由を解説されており、今後も講義形式は採用されるであろうと考えているとの事でした。しかし、講義形式なんか「やめてしまえばよい」と心底思っているそうです。
参加者からは、「壮大な皮肉だけど、学習塾の場合は、学校よりも上手にやる必要がある。学校の代替であり、学校が不足している部分をカバーしないといけない。」「講義を選択するには色々な理由があると思うのだが、分解されていてわかりやすかった。自分がやる時の点検になる」「あまり授業はやっていないのだが、時間潰しに来ている学生にとってはワークショップ形式は嫌なのだと思う」と様々な職種の視点から意見がありました。
◆小池先生
看護教育に携わる人のIDの普及に自施設で取り組まれている先生の日々の葛藤についてお話しがありました。修了してからのご自身の軌跡を3つの視点で振り返られました。
①「自己から周囲へ」
看護教育にIDはフィットするので、もっとIDを知って一緒にトライする視点
②「アウトソーシングの楽しさ」
誰かの活躍の裏方をする面白さ
③「看護師基礎教育とその先へのビジョン」
日々の葛藤を述べられました。
参加者からは「医療系のルールは独特のものがある」「教材を作るのは簡単だけど、どうやって使うのか?が重要」「学生の評価があがれば、他職員からの評価が下がる。学生中心なのだから学生の声を使って突破できないか」と様々な職種の視点からの意見がありました。
その後、「彼」に対して「己」はどのようなアプローチが必要であるのかについてグループワークを行いました。意見として、「相手の世界観を認めること」「彼のタイプを知って、IDという言葉を出さずにうまくやっていく」「そのステークホルダーができないと困る人を巻き込む」といった意見が出されました。また、「彼」は「本当は困っているのに、困っている事に気づいていないのでは?」という意見もありました。
最後に鈴木先生からイノベーション普及学についてお話しがありました。新しいものを普及するにはどのようにすれば良いのかを学ぶ工学だそうです。IDは手段であって目的ではないというお話しも改めて納得しました。
今回も多くの学びがあり、自分のフィールドでもIDを用いた人材育成が進んでいけばと思います。
13期生 増永 恵子