第40回 まなばナイトレポート
『基礎教育と臨床教育の場面紹介 〜評価方法改善への取り組み〜』
第40回まなばナイトは『基礎教育と臨床教育の場面紹介 〜評価方法改善への取り組み〜』と題して、GSISに関わりのある看護師資格を持つおふたりをお迎えし、インストラクショナルデザインで大事な視点となる「評価」についてお話ししていただく場として令和元年6月16日(日)に開催しました。
まず、オープニングとして熊本大学教授システム学研究センター センター長兼熊本大学大学院システム学専攻 前期専攻長鈴木克明教授から「毎回のことですが、このまなばナイトは飲み会です。たくさん飲んで、たくさん食べて、たくさん学んでいってください。」とのご挨拶をいただきました。次に、乾杯のご発声を熊本大学教授システム学専攻 久保田真一郎准教授からいただきました。
今回は、満席に近い皆様にご参加をいただきました。その中には、普段インストラクショナルデザインという言葉に、あまり触れていない方もおみえとのことでしたので、最初に「私の教育論」として自己紹介がてらテーブルディスカッションを行いました。日頃の悩み、疑問、そして少しばかりのグチなどもあり、それぞれが熱く語り合いました。
そして、本題の話題提供です。今回の話題は、同じ看護師でも「看護教員として看護学校での教育評価」と「看護部長として職場での教育評価」の2つの視点からお話をしていただきました。
1人目のスピーカーは、豊場沢子さんです。豊場さんは、GSIS修了者であり看護学校の教員として教壇に立っておられます。
豊場さんからは、看護学校で看護技術を教える際に「○○○の基本技術を評価する」とされているにも関わらず、技術の習得が適切に評価されていないということをお話をいただきました。そこで、豊場さんはその技術に含まれる要素を課題分析して、チェックリストとすることで評価方法を明確にして有効な成果を出せたそうです。チェックリストは、教員の中で共有して共通の視点で評価できるようになったことと、学生にも公開したことで自主的に練習をするようになり、習得度がこれまでより向上したとの内容でした。
2人目のスピーカーは、天野結香さんです。天野さんは、まなばナイト2回目のスピーカーですが、先回と異なる点は昨年度から看護部長になられ病院看護師のトップを走っておられます。
天野さんからは、病院で働く看護師教育の評価として「メーガーのの三つの質問」をもとに考えているとの話で始まりました。看護師教育は、日常業務に直結する話題でなければ意味をなさず、そのためにインストラクショナルデザインと出会い、目指すゴールや、それができたかどうか確かめる方法を常に考えているとお話をいただきました。お話の中では、事例「入院患者の口腔内環境改善への取り組み」として、パフォーマンス分析図を用いて、何をすべきか、どう評価すれば組織のミッションを達成できるかの具体的方法をお聞きすることができました。
話題提供後は、お酒を食事を楽しみながらスピーカーの話題をどのように自分自身が持ち帰るかテーブルで意見交換するなどしました。その後、「鈴木克明先生に何でも聞いてみよう!」という企画を行いました。参加の皆様からは、直接的に鈴木先生に悩みや疑問を聞けるチャンスとなり、多くの方からご発言をいただきました。
そして、クロージングとして最後に鈴木克明先生からお言葉をいただきました。
今日は、評価としての話題であったが、多くの現場はチェックリストをやるだけで終わっている。チェックリストは、教育をするために使うのではない。大切なのは、この業務ができるのかを判断するための道具として認識することである。看護師では、ラダー教育というシステムがあるが、このようにできることをだんだんと増やしていくことが教育では大事である。そのためにも、まずやらせてみて、チェックリストでやばいと思ったところに即介入できるようにしなければならない。そして、仕事として任せられることを増やす。当たり前のことをチェックしてもしょうがない。
とのお言葉をいただきました。
中部地方での6回目のまなばナイトは、大勢の方に参加いただき盛況のうちに幕を閉じました。いつもですが、こうして続けられるのも、多くの方のご支援ご協力、そして元気をいただいているからです。心から御礼申し上げます。中部地方では、9月7日(土)〜8日(日)に日本教育工学会2019年秋季大会、10月12日(土)にGSIS公開講座、12月7日(土)に人材育成事例検討会が決まっています。今後、SNSなどでアナウンスしていきますので、ご検討をよろしくお願いします。次回もより良い会を求めて企画していきますのでご期待ください。ありがとうございました。
熊本大学大学院教授システム学専攻同窓生 大石 奨