第66回まなばナイトレポート
コロナ禍における小児看護学実習の
ハイブリット化と今後の展望
今回のまなばナイトは、熊本大学大学院教授システム学専攻(GSIS)同窓生の芳賀 了さんをお迎えし、小児看護学実習を研究されている立場としてのご苦労や工夫をお話しいただきながら、ワイガヤ(ワイワイガヤガヤの略です)から新たな学びを楽しんでいただきました。
開会は、熊本大学名誉教授でGSIS同窓会顧問、現在は武蔵野大学響学開発センター長の鈴木克明教授のご挨拶と乾杯のご発声をいただきました。
今回のスピーカーの芳賀さんは、大学看護学部で看護学実習の成果を上げるために研究されています。その中で、突然の新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、実習がうまくできない状況になったためにハイブリッド型実習を考えられたとのことでした。一番最初には、鈴木克明先生のお言葉にあった「むかしに戻るんじゃなく、いいものは残して教育の質向上を目指さないとダメなんですよ!」を引用されて、「協同学習の促進」「シャドーイングの積極的導入」「柔軟な授業設計の手法の導入」についてお話が進みました。
話題では、小児看護の教員は臨地の方が実習目標が達成できると考えているとのデータが示されつつ、コロナが落ち着いてきたために元に戻ろうとしているとの現況報告がありました。また、認知的徒弟制に関して触れられて、「シャドーイング」という看護学生や新人看護師が、経験豊富な看護師(メンターやプリセプター)の業務を間近で観察し、業務の流れや臨床技術、コミュニケーションの方法を学ぶ教育方法の重要性を訴えられました。柔軟な授業設計では、学生のレディネスや学習目標に応じて柔軟に学内実習のシナリオを変更したが、これは臨地実習でもリアルとバーチャルの意図的な融合を行うことで応用可能ではないかとのご提案がありました。
続いて、参加者同士でのグループディスカッションに移り、①私が一番興味を引いた部分、②芳賀了さんに聞きたいことをワイガヤしました。そこでは、同職種の看護教員の方からのコメントや、企業教育に携わっている方など、多方面からの意見をいただきました。
その後、鈴木克明先生からご助言をいただきました。芳賀さんには、鋭い質問にもきっちりと真摯に答えておられて流石だなと思いました。普通の飲み会とは思えないクオリティであったと思います。新型コロナウイルス感染症で、今までと一緒ではダメだと考えるチャンスをもらったのだが、一方で非常事態であったので乗り切るのに精一杯であった。そんな状況下であったので、リフレクションするとよく分からないということがあった。でも、せっかく平時に戻ったのだから、もとに戻せば良いのではなくて、あの時のことを思い出して何が良かったのか、何を活かすのかを考えるチャンスではないか。そして、コロナで分かったことは、臨地実習に行かなくてもできることはあるということも分かった。それは臨地実習をやめるということではなくて、コロナ禍で臨地実習に変えてやっていたことを臨地実習前の学内実習でやるなどで生かしていくことが大事である。シャドーイングが今日の話題で出ていたが、臨地実習に行ってシャドーイングしかできないのはダメであり、シャドーイングしているから実習が満足か?ということになる。話題の中にあった、認知的徒弟制=シャドーイングではないと伝えておく。認知的徒弟制には四段階あって、その段階は家に帰ってから調べてもらえれば良いが、シャドーイングがどのような関係にあるのかを考えると、シャドーイングだけが認知的徒弟制ではないことがわかると思う。名古屋のストロングメンバーとともにまた来年もやりましょうとコメントを頂戴しました。
今回も多くの皆様にご参加いただき、本当にありがとうございました。2024年12月7日(土)には、第8回人材育成事例検討会を名古屋市近郊で開催します。ぜひこちらにもお越しください。
(熊本大学大学院教授システム学専攻同窓生 大石 奨)