第12回 まなばナイトレポート
eラーニングの専門家をeラーニングで育成する教授システム学専攻は、どのようにデザインされたのか。また成果はどのように測られているのか。今回は開催母体でもあります、熊本大学大学院教授システム学専攻のデザインについて、専攻の専任教員である根本淳子先生、鈴木克明先生の2人をお迎えしての開催となりました。
今回もワークショップ形式で、IDのこと、教授システム学専攻のことについて、各参加者のみなさんとともに考えていきます。導入ワークとセッション1・2の3部構成で進行しました。
<導入ワーク>:
久々の鈴木専攻長によるオープニングと導入ワーク。何を期待しての参加か、こうあるべきと考えていることは何かの2点、お題が投げかけられ、個人ワーク、グループディスカッションしてモヤモヤを高めます。
<セッション1>:「教授システム学設立の意図とそのデザイン」
教授システム学専攻を構築してきた立場から、全体像を根本先生が提示されました。
まず専攻設立の経緯をインタビューした形式で中野先生のビデオメッセージが流されました。
教授システム学専攻設立について語る(中野裕司教授)
次に、インストラクショナルデザイナーとしてどのようなプログラムにしようと考えたのか、スライドと配布資料で示されました。
配布資料:「eラーニング専門家養成のためのeラーニング大学院における質保証への取組:熊本大学大学院教授システム学専攻の事例」
http://www2.gsis.kumamoto-u.ac.jp/~idportal/wp-content/uploads/no6-04tokusyuu03.pdf
より、
論文に掲載された図表2点、表1のコンピテンシーはサイトにも掲載され学生もしばしば目にし修了後も意識しているものですが、表2シラバスガイドラインはあまり知られていなかったかも知れません。
設立から時を経て、折々にプログラムの改善を重ね、その経過や成果は関係学会や研究会でも報告されてきましたが、そのデザインの意図を学生に示し伝えることはしていなかったと振り返ります。
またそれらは、これからデザインをしていく学生にとっても、重要なリソースの一つであるはずだと考えたと述べられました。
そしてミッション、ビジョン、バリューとデザインポリシーに整理したものが発表されました。
ワーク1:GSISのミッション・ビジョン・バリューの改善
ワークのポイントとして示されたのは、
1.もっと伝わりやすく、分かりやすくするためには?
2.学びのデザインポリシーについても、改善提案をしよう
の2点。ワイワイガヤガヤとグループでディスカッションし、発表しました。
グループにはOBOGも混じり、また修了時期の違いからカリキュラムの相違もあって様々な意見が出たようです。
<セッション2>:学生の立場からみた教授システム学のデザイン
ケース1:高橋暁子さん(二期生)
提供側の視点からのワークに続き、修了生2名からの発表がありました。
「GSIS黎明期に学習者として感じたこと」として
・自立した大人としての扱い
・最小限の人的支援
・学習計画は自分で立てる
・効率的な学習の推奨
・協調学習の推奨
を挙げて、体験を振り返り紹介されました。
ケース2:甲斐晶子さん(四期生)
甲斐さんは、「5つのポイント考えてきました」として、デザインのポイント分析を披露されました。
1. 目的地と現在地を意識させる
2. 本物を体験させる
3. 自分で決めさせる
4. 甘やかしすぎない
5. デザインを決めない
ワーク2:まなびのデザインポリシーに学習者の視点を追加しよう
二人の発表を受け、グループでデザインポリシーの改定案、ミッション/ビジョン/バリューの見直しなどについて話し合いました。
ICTを活用するのはもちろん、リアルな関わりもゴールに向かうのにとても重要。カリキュラムのデザインに加え、学習活動がデザインされていることや、それらの方向性がまとまっていることが支えになるだろうことを感じた今回のまなばナイトでした。