第6

まなばナイトレポート

テーマ:GBS理論とPSI(個別化教授システム) による教育実践 

今回の関西発まなばナイト、昨年まではコロナ禍のため対面で思うように集まっていただけませんでしたが、今年は3年ぶりの対面、加えて遠方の皆様にも参加していただけるようハイフレックスでの開催でした。

 今回は今年の3月に修了された3名の同窓生の皆様が修論研究と修了後の活動について話題を提供してくださいました。テーマは「GBS理論とPSI(個別化教授システム) による教育実践」です。まず最初に今年から武蔵野大学響学開発センター教授に異動された鈴木克明先生のご挨拶から始まりました。


山本さんは、PSI理論を用いた対面の一斉授業の改善について、田嶋さんは日本語教師でスイスから時差7時間の壁を超えて(!)のオンライン登壇で、日本語教育における魅力を高めるための課題について、馬場さんは救急部門の看護師長として、あまり遭遇しないけれどリスクの高い症例に対する安全な看護実践のためのジョブエイドについて、紹介していただきました。分野は様々ですが、いずれもGSIS研究テーマ選びの鉄則?である「現場の悩みから出発して周りの人を幸せにする」テーマであり、日々の業務をなんとかよくしたい、という思いを感じられました。 

GBSはシナリオ型教材の開発のための理論であり、現実的な文脈を設定して「失敗から学ぶ」経験を擬似的に与えるための学習環境、PSIはキャロルの時間モデルを元にした完全習得学習の1形態であり、学習内容を単元化し単元の通過のための評価に合格すると次に進むことができる、という積み上げ式の学習環境を提供しているものです。登壇された皆様の解決したい課題の種類によってアプローチの方法が違うのは当然なのですが、鈴木先生より「解決したい課題に応じて理論を選択することが大切」というお言葉に、日頃使い慣れた理論と手法にばかり頼って教育を行っていないか?きちんと課題を分析して改善を行なっているか?と我が身を振り返り深く反省をしました。 

個人的には外国語のマスターと文化的背景の理解の関係についてとても興味深かったです。日本人として日本語を教えているのであれば日本についてポジティブな興味を持って欲しい、という気持ちがあります。興味を持って好きになったほうが(ARCS、のAですね)が勉強もはかどるし、「来年日本旅行したら・・・」なんてワクワクしながら学んで、上達するって素敵ですよね。よく考えると、まなばナイトそのものが鈴木先生にお会いできる、同窓生の皆さんに会える、皆さんの取り組みを知ることができる、自分のモチベーションが上がる、といったワクワク満載なイベントですよね(もちろん「オプション」も!)。IDって効果的・効率的・魅力的な教授のためのものなのに、最近「魅力」のこと考えているかなぁ、と次の課題も見えてきたまなばナイトでした。


次回のまなばナイトは12月9日(土)に開催されます。恒例の年末忘年会スペシャル、皆様のご参加をお待ちしております。

 

 

(中前雅美 熊本大学大学院教授システム学専攻後期博士課程、修士課程9期修了生)