第03回 まなばナイトレポート
投稿日: 2012/07/03 14:05:56
平成24年4月7日(土)、(株)富士通ラーニングメディア様の品川ラーニングセンターにて、「第3回 まなばナイト」を開催いたしました。
早くも第3回目を迎えた今回のまなばナイトは、熊本大学大学院 教授システム学専攻
(以下GSIS)とのジョイント企画で行いました。当日はGSISの修了式、入科式を始め、GSIS のOBOGによる現場での実践から得た成果を紹介するポスター発表が同時開催されたこともあって、富士通ラーニングメディア様からお借りした大きな会場が満席となるほどの大盛況ぶりでした。これもひとえに関係各位の皆様のご尽力の賜物と心より御礼申し上げます。
今回のセミナーは、軽食とお酒を楽しみながら学び・語り合う、カジュアルなスタイルでの3時間。その後『Donna D’oro 品川インターシティー店』に会場を移して行われたGSIS主催の懇親会も満杯で、活気溢れるまなばナイトとなりました。
まず、弊社 森田より「教育を提供する側として考える」と題して、本日のテーマの紹介と、「そもそも顧客は誰なのか?」、「顧客は何を欲しているのか?」、さらに「顧客に求められるeラーニングとは?」という問い掛けを参加者の方々に行いました。そして、その答えを具体的な事例をもとに考えていただくため、当初のスケジュールを変更し、最初に熊本大学大学院 教授システム学専攻の江川良裕先生に「マーケティングにおけるeラーニング、eラーニングにおけるマーケティング」というテーマで、2部構成で発表していただきました。
GSISのコンセプトである4つのI(ID, IT,IP,IM)のうち、IM(Instructional Management)分野のなかで、GSISの学生なら誰でも知っている「eラーニングコンサルティング論」という非常に単位取得が難しい科目を担当されている江川先生ですが、まず第1部ではTVCMなどの身近な事例を挙げながら、マーケティングの基礎について初心者にも分かりやすくお話していただきました。また、eラーニングをマーケティングの視点から捉えた場合にユーザーを意識した設計になっているか、ということについても話が展開していきました。
そして第2部では、『eラーニングは「儲からない」のか?』という問い掛けが行われ、「フリー」、「モジュール」、「ソーシャル」、「ゲームフィケーション」、「プラットフォーム」をキーワードに、フリーモデルとしてのEテレ、Khan Academyの事例を挙げながら、議論を深めていきました。
続いて、熊本大学大学院 教授システム学専攻 専攻長の鈴木克明先生から「教授システム学専攻の広報としての公開科目の提供」と題して、現在GSISで行われている講義の一部を無料で公開した公開科目の紹介がありました。鈴木先生からは「今後も公開科目を増やしていくべきかどうか?」という質問が会場全体へ投げ掛けられ、在学生、OBOG、入学を検討中の方、そしてセミナーの参加者からと、それぞれの立場からいろいろな意見が出され、全ての科目を公開することには様々なリスクがあることが見えてきました。また、MITのオープンソースが他大学の単位認定に使用されている事例等も紹介され、公開科目をどこまでどのように提供するかを考えることは、大学の存在意義、経営戦略を問い直すことにも繋がっていくという気づきが得られたのではないかと思います。
今回のセミナーは内容が盛りだくさんで、江川先生のお話は時間の都合で全てを終えることが出来ませんでした。是非、江川先生に第2弾としてお話をしていただく機会を作りたいと思っています。
eラーニングの普及により、学習を提供する側にとっては学習者のターゲット層を広げることに繋がり、学習する側にとっては学びの機会が増えることに繋がりました。しかし、それだけに参入がしやすく競争が激化していることを考えると、今後差別化を図っていくためには、マーケティングの視点を取り入れ、顧客に認識されるところから活用されるまでの一貫した広報戦略を組み立てることが重要だと感じました。eラーニングで学位取得ができるという点でこれまで優位性を保っていた大学の関係者からも、他大学のeラーニングへの進出による競争激化の結果として、低価格化も視野に入れた質問がいくつか出され、これからもますますeラーニングが注目され、進化していくであろうことを予感させられました。
ここで、参加された方々からいただいたアンケートの結果を一部公開いたします。
第3回 まなばナイト アンケート集計結果 アンケート総数 28枚
1.参加して良かったですか?
とても良かった 22
良かった 6
2.今後改善した方が良いと思われる項目
・グループワークの時間をもう少し長く
・あとで感想など投稿できてディスカッションできるような場所もしくは
Twitterハッシュタグだけでも
・プログラム構成、ネット中継をぜひ
・資料、事前にいただきたいです。スピーカーの紹介等もくわしく事前に
知りたかったです
・受付がもう少し効率化されると良いと思います。
・13:00~のほうが良いです。
・東京駅周辺を望みます。
3.今後取り上げてほしいテーマ
・大学教育におけるIDの実践
・研修ではなく学校教育をテーマにしたお話
・IT系のテーマもあってよいのでは
・アンドラゴジー
・モチベーションについて
・学習効果の測定・評価手法について
・今回のテーマをもう少し掘り下げてほしい
4.今後のまなばナイトに参加したいですか?
・ぜひ参加したい 20
・参加したい 8
5.ご意見・ご質問
・グループディスカッションでの会話で知識の共有ができました。
・もっと質疑応答の時間が自由なほうがよかった。
・今日はありがとうございました。教えない教育というのは、学習者が自ら学ぶようにするための仕掛けなのだと思いました。
・もっと学びを深めるためにも参考資料があるとありがたいです。
・前提の説明が少なくて何の発表なのか理解するまでに時間がかかりました。具体的に何をされていたのかという説明や資料は欲しかったです。
・大変勉強になりました。ありがとうございます。大学のキャリア教育の分野でも人材育成の課題が多くあると思うので、その辺りもテーマとして取り上げていただけると嬉しいです。
アンケートにお答えいただき、貴重なご意見をいただいた皆様、ありがとうございました。今後も皆様からいただいた意見をもとに少しずつ改善をしていきながら、より良い「まなばナイト」にしていきたいと思っております。