第55回まなばナイトレポート

LTトラック特別企画 「IDとIT」

 観測史上最も早い梅雨明けとなった6月下旬の夕暮れ「第55回 まなばナイト」が新宿御苑近郊の会議室で開催されました。

 会議室からは、新宿御苑、新国立競技場が見渡され、夕陽に染まる富士山を眺めながらハイブリットでの「まなばナイト」が始まりました。現地8名、オンライン上は20名の参加がありました。

 今回のテーマは、「LTトラック特別企画 「IDとIT」」と題し、本年度から新たに開始されたGSISのカリキュラムについて前期専攻長の喜多先生からお話がありました。LTトラック設立の目的は、IDerを養成するカリキュラムに加えラーニングテクノロジストを養成することです。IT中心のコースということで、「ラーニングテクノロジーI・Ⅱ」という科目が新設され、「基盤的情報システム論」は「基盤的プログラミング論」へ、「eラーニング実践演習」は「eラーニング共同開発」へと生まれ変わったようです。プログラミングについての知識や技術が前提として必要とのことでした。

 Moodleで様々な資料が閲覧できるように喜多先生がリンクを張って参加者がそれを参照するという形でお話をされ、一部公開している科目についても実際に閲覧をさせていただきました。コロナ渦を経験した私たちにとって、ここ2.3年の間に遠隔学習システムは身近なものとなっています。そして、最新の技術を学び、学習システムを自らの手で築き上げることができるこのトラックは魅力的であると感じました。

 修了生がこれらを学びたいなと一念発起した場合は、科目履修生として受講することができる様です。学んでみたい方は、一度、喜多先生にご相談してみてはいかがでしょうか?

 後半は、「学習アプリのUX/UIを評価しよう」と題して、様々なゲーミフィングが組み込まれたアプリを試してみてのグループワークとなりました。「まなばナイト」参加の案内に事前に提示された6つのアプリ(みんチャレ、grammarty、Pomodro Tracker、毎日脳トレ、Duolingo、Moodleアプリ)を実際に使用しての感想をそれぞれ述べるグループ、他にもこんなアプリがありますよと紹介しながら話合いを進めるグループ、グループの中にゲーミフィングの要素を盛り込んだ研究や教材作成をされている方を中心に話合いが進んだグループがあり、沢山の意見が出て、各グループ大いに盛り上がったように見えました。

 最後に鈴木先生から「インストラクションデザインをやっていたらゲーミフィケーションは不要じゃないか?」と辛口のお言葉がありました。ゲーミフィングの要素は外発的動機付けであり、それらを行うことで内発的動機付けが強化される事が本質であり、これらはインストラクションデザインとして基本的な考え方であると言われた時、本質を見失ってはいけないなと身が引き締まる思いでした。通称グリーンブック(学習者中心の教育をデザインするインストラクショナルデザイン理論とモデル)にもゲーミフィングについて述べられている章があると情報も教えてくださりました。

 「まなばナイト」は、同窓生が中心となって企画してくださっている同窓会イベントの1つです。同窓生や在校生、教員の先生方との親睦を深め、そして、GSISに興味を持ってくださる方との交流の場であり、最新の知見を得たり、情報を交換する場ともなっています。

 いつもこのような機会を与えてくださる先輩方に感謝しつつ、学んだことを少しでも自身のフィールドで活用していきたいと思いました。

(熊本大学大学院教授システム学専攻同窓生 増永恵子