第47回まなばナイトレポート

オンラインでのグループワークやWSの実践報告

オンラインでの授業や研修・ワークショップなどを行う機会が増えた今、みなさんそれぞれが工夫されていることと思います。今回は、オンラインでの活動をより活発にするためのツールとその活用方法を、大学での授業実践事例を中心にご紹介いただきました。

事例1:西村 恭子さん(10期生・神戸女子大学 非常勤講師:使用ツール「miro」): 

神戸女子大学で新入生156名を対象に、Zoom+miroのオンライン授業を実践。入学後キャンパスに足を運ぶ機会のないままオンライン授業に突入した新入生に、仲間との交流をもたらしたホワイトボードツールmiroの活用。ほかにも、何人かの学生をホストに指定して行うグループ活動など、限られた環境の中で最大限に工夫をした授業実践をご紹介いただきました。

-miroのメリット-

・グループ活動全体の様子を教師が1つの画面で把握することが可能

・学生が他のグループの活動状況を確認可能

・グループごとのワークシートを作成する必要がなく準備がラク

・授業終了後の編集がラク

 -miroのデメリット-

 ・説明が英語

 ・スマートフォンでの編集が難しい(スマートフォンではアプリとアカウントも必要)

 ・無料での使用は3枚までのホワイトボード(有料版:$12/月)


事例2:田中 洋一さん(仁愛女子短期大学 教授:使用ツール「Google Jamboard」)

仁愛女子短期大学ではGoogleのG suite for Educationを活用中。Zoomでのオンライン同期型授業でも同じくGoogleの提供するホワイトボードツールJamboardを併用されています。Jamboardの操作方法とともに、しっかりとデザインされた授業活動の中で様々に活用されている様子を紹介してくださいました。新型コロナウイルス拡大前から活用されていて、慌てることなくオンライン授業にシフトすることができたとのことです。

 -Jamboardのメリット-

・書込み内容が随時Googleドライブ上に自動保存される

・同一グループで20フレーム使用可能

  ・画像やpdfでの保存可能

  ・50人まで同時利用可能


事例3:關谷 暁子さん(北陸大学医療保健学部医療技術学科 准教授:使用ツール「Googleドキュメント)

北陸大学では、オンライン授業を行う中でも学生の学習時間をしっかりと確保し、遅れることなく学習を進めることに重点が置かれているそうです。そんな中、学生たちの様々なインターネット環境に配慮し、できるだけ負担のない形で同期型授業を行うために考案されたGoogleドキュメントで授業をガイドする授業実践をご紹介くださいました。Googleフォームやpdfなど、リンクで様々なツールにとんでいっても、わからなくなったらとにかくGoogleドキュメントに戻ればいいという手法で、Zoomなどでつながらないまま遠隔で同期型授業を行う工夫がなされていました。

 -Googleドキュメントを中心に据えた遠隔同期型授業を取り入れた視点-

・ICTが不得手な学生でも参加が容易であること

・スマートフォンしか持たない学生でも参加可能であること

  ・通信制限があるインターネット環境でも参加が可能であること

  ・教師側がICTやオンライン授業に不慣れでも活用しやすいこと


さらに、“小ネタ”して2つの実践事例についてご紹介いただきました。

 

小ネ1:淺田 義和さん(9期生・自治医科大学情報センター 講師「シンポジウムでのZoomとSlack利用」)

チャットツールから発展したSlackをZoomとともに活用した学会での事例をご紹介いただきました。slackではスレッドがつけられ、指定相手のみと通信することが可能だということです。

 

余談2:北川 周子さん(10期生・株式会社エデュプレイ代表「MoodleにGoogleログイン使ってWSツール使ってみた」)

MoodleにGoogleアカウントでログインできるようにして、その中にZoom、miro、Googleドキュメントなどのツールを置いて活用した事例についてご紹介くださいました。


まなばナイト中のブレークアウトルームでは、登壇者の方々が順々にグループをまわって下さり、参加者は質問したりmiroやJamboardを体験してみたりすることができました。さらに、参加者同士で使っているツールの紹介や使い方アイデアの共有なども行われていました。

 

今回紹介されたツールは対面型授業に組み合わせることも可能で、どのように使うかによって可能性も広がりそうですね。

遠隔に対面、同期型に非同期型、そしてハイブリッド型。

様々な形態に対応することが求められている今、どんな形でも学習者にとってより有意義な学びをデザインし実践していけるよう、新たなツールや手法にもチャレンジしていきたいですね。


熊本大学大学院教授システム学専攻同窓生  (11期生)土屋 理恵